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Channel: ぼくの大阪◯◯◯日 日記

菊地真美❤HEART BEAT

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1979年から80年代にかけて音楽シーンを席巻した“ニュー・ウェイヴ”。
ミュージシャンの象徴:自由への解放 の象徴であったロングヘアが時代遅れとされ
ビジュアルが、健康的でスタイリッシュになっていきました。
(当ブログで何回も登場している クイーンやポール・マッカートニーやあのロバート・プラントも髪が小ぶりになってしまったことに当時、大きなショックを受けたことを憶えています)

日本でも1980年 ジャパンレコード・レーベルが設立され、時代の息吹を感じさせるレコードをリリースしました。でも有名なのはオーソドックスな路線の 伊藤つかささんなのですが。

一見クールな面持ちで、よーく見るととても可愛い菊地真美さん。
レーベル立ち上げ直後のすこし尖ったレコード「HEART BEAT」
1980年リリース ジャパンレコード(JAS-7)

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「HEART BEAT」 作詞・作曲・編曲:惣領泰則 (4:33)
“♪A SAID IT IS NEW MUSIC   B SAID IT'S THE NEW WAVE”
曲の大半を埋める簡単な英詩。

“♪F SAID IT'S B××× MUSIC”とピー音を(恐らく意図的に)仕込んだ衝撃的な歌詞。

バック演奏は、ミニマルなバンドサウンド。恐らくデボラ・ハリーを意識したような
歌い回しで、ぶっきらぼうなイメージを醸し出し、カッコいいです。

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祭りの子供作詞:及川垣平 作曲・編曲:惣領泰則 (3:37)
B面も時代の息吹を感じさせる、こちらはジャーマン・バンドをお手本としたような
ギターのミュートリフを反復したような実験的な演奏。

“♪金魚釣り 其の時だけのヒーローが 最前列で背筋をのばす”
“♪絵日傘の前でテコでも動かない 普段内気な女の子でも”
歌詞カードを見ると充分ユーモアのある、祭りの あるある が淡々と歌われ
不思議と幻想的な歌詞。そして昔懐かしい優しい歌メロディー。
例えば、アニメの挿入歌としても際立つような、そんな隠れた逸品です。

ところで、歌詞カード “祭りの子供”下部にサブタイトルみたく
“サーティワン フレーバーII” と小さく書かれていますが当時、アイスクリームと何かつながりあったのかな?

藤川みゆき❤朝

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またまたまた1970年代の話で恐縮ですが、
あべ静江さんの「コーヒーショップで」、また初期の太田裕美さんにあった、かなり湿った
マイナー調の楽曲。
歌詞の世界も麻生よう子さんの世界にある“駆け落ち”ものや、今で言うしみったれた楽曲も沢山あり古めかしさを感じさせることも確かですが。
80年代に入るとウォークマンの普及、東京ディズニーランド開業と時代の豊かさとともに
趣味の多様化もあり、湿った歌謡曲も激減していきました。
実を言うと私、マイナー調の歌謡曲は苦手で「コーヒーショップで」よりは「水色の手紙」。
九月の雨」よりかは「南風」を今でも好んで聴いていますが、今回紹介するレコードは
マイナー調ながらテンポ良く私のような人でも聴きやすい楽曲です。

藤川みゆきさん 「
おそらく彼女がリリースした唯一のシングル盤ではないでしょうか。
1975年リリース ビクターレコード(SV-1216)
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特筆すべきジャケット写真。いーでしょ?
ハーフシャドー掛かっていて、なにか神妙な面持ちのみゆきさん。
リスナーに何か訴えでも?? なんでも聞いてあげちゃいそうです。

「朝 」 
作詞:有馬三恵子 作曲:平尾昌晃 編曲:馬飼野俊一 (3:08)
“♪後悔しない 昨夜のことを あなたはどこかあいまいだけど”
“♪許しましょう朝だから 私は今ある幸せに 賭けてみたいのよ”
昭和30年9月生まれのみゆきさん デビュー時ちょうど20歳。にしても少し大人びた歌詞。
でも “許しましょう 朝だから” って 計3回出てくるのですが、なにか素敵なフレーズ。
付き合っているカレに不満はあるけれど、それよりも今日を大事に生きている ってイメージ。
演奏は例の如くビクター・オーケストラ。曲調はマイナー調ですがたまに変調?って煌めきが2度ほどあって飽きさせません。
みゆきさん、お姉さんっぽい親近感が湧く歌声でプロのようで素人のようでそうでない
一言でいえば やはり魅力的 ってことになりますが(笑)

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不安のとき 作詞:有馬三恵子 作曲:平尾昌晃 編曲:馬飼野俊一 (2:52)
B面はそこまで良くない。
A面と同路線ですがすこし今で言う演歌チックな顔も覗かせる楽曲。
ここでのみゆきさんのヴォーカル すこしばかり泣きが入り充分に魅力的です。

藍美代子❤若草の誓い

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こんばんは。
ご存知の通り、さくらももこさんがお亡くなりになられました。
日曜日の夕方 “笑点”のあと “ちびまるこちゃん”を楽しく観ています。そっかーお亡くなりになったのですね。

1965年5月生まれのももこさん 実は私も同じ65年5月生まれで、アニメに出てくるお風呂場での風景や盆踊り、空き地での缶蹴り、秀樹さんやリンダさんのヒット曲。そうそう!自身が小学校3年の時の空気とおんなじで、思い出しながらアニメを楽しんでいます。一番好きなのは まるこがお金欲しさにお姉ちゃんの買った雑誌「りぼん」を友達に売ってしまう話。でもその 「りぼん」にはお姉ちゃんの人には見せられないような悩みを綴った葉書 が挟まれていて・・・ってやつ。

あの時代に生きていたひとなら共感出来る小さな事柄を、今も鮮明にアニメとして映し出し
沢山の視聴者を笑顔でいっぱいにさせて・・・ももこさん 本当にありがとう。
これからもアニメ 楽しみたいと思っています。

まるこちゃんが小学校3年の頃(1974年)のレコード。
藍美代子さん「若草の誓い」
1974年3月リリース ワーナー・パイオニア(L-1171W)
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「若草の誓い」 作詞:安井かずみ 作曲:平尾昌晃 編曲:森岡賢一郎 (2:38)
神田川のような哀愁のイントロに導かれて始まるマイナー 且つリリカルな印象の楽曲。
ミドルの部分で盛り上がり、曲の後半はしめやかに といった今では珍しい曲構成。
声量を抑えながら、盛り上がりは綺麗なファルセット(裏声)ととんでもない技量のヴォーカルはもっと評価されて良いと思います。
“♪緑まぶしい若草もえる このふるさとに残る私なの きっとあなたを信じることで
 いつか しあわせになるわ”

歌詞もあの頃のように“純朴”で幸せになれる2分38秒。
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春風の約束 作詞:安井かずみ 作曲:平尾昌晃 編曲:森岡賢一郎 (3:25)

B面曲は「瀬戸の花嫁」「春のおとずれ」のような小柳ルミ子路線。
穏やかな春のおっとりとした曲調に、美代子さんのファルセット気味の艶やかな歌声。

“♪菜の花の咲く丘に ふたりの指がふれあった 一年ぶりの春が そよ風 恋風”

“♪父さん わたしをいつまでも 子供と思っていることが うれしいけど だけど わたしは恋したの”

うれしいけど だけど の節回しがたまらなく心に響きます。

ドクタームー&ワー・ワー❤ドクタームー

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ドクタームー&ワー・ワー って不思議なグループ唯一のシングル盤(1977年リリース)。
TBS系人気テレビドラマ「ムー」が同年5月放映開始ですから、便乗・即席でリリースされたイメージを持ちますがこれがなかなか 素敵なレコードです。

調べてみると 佐藤真理子、石川裕子、畑山佳代 のお三方。1974年「スリーナッツ」という
グループ名でデビュー後、3年後この盤で再デビューのようです。

アメリカでしょうか?荒野を走る1台の車とゲバゲバのような不思議なイラスト。
セクシーな美脚が印象的。キングレコード(GK-116)
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「ドクタームー」 
作詞:くろす雄葉 作曲:杉本真人 編曲:土田治一 (3:11)
ミディアムテンポのほろ苦メロディーのA面。
“♪恋の相手は沢山いるわ 私 いつでもメラメラしてる けれどもあいつが現れてから
恋のすべてが色あせたのよ 夜明けに出逢った Ah ドクタームー”

曲調としてはやはり当時流行のディスコ調 になるのでしょうか。
1番と2番のつなぎの間奏(約20秒)が、スタイリステックスの“I Can't Give You Anything”を思わせる哀愁の美メロで素敵です。

終始、ユニゾンで歌われるコーラスワーク。セクシーな吐息などのSEも盛り沢山。

“♪あいつと暮らそう あいつと暮らそう 愛する状況だから”
意外とオーソドックスな歌詞も時代を映し出しています。
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独身貴族 作詞:杉紀彦 作曲:杉本真人 編曲:土田治一 (3:47)
やわらかな春の朝を感じさせるB面曲。
あの“黄色いサクランボ”をフォークタッチにしたような風情。

“♪間違ってたら ごめんなさい まえにどこかで お会いしたわね”
曲の主人公、なかなか目の前の“アナタ”を思い出せないご様子。

“♪間違っても かまわないわ どこか遠くへ出かけましょうよ シティ・ボーイは頼りなくって とっくにあきあき してるのよ”

安定したコーラスワークとハーモニー。王道の曲調ですが曲の最後でー

“♪思い出したわ あなたは昔おとなりさん なきむしケン坊 Uh・・・・”

ってオチがついてクスッと笑ってしまいます。

五十嵐夕紀❤バイ・バイ・ボーイ

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西城秀樹さんが歌ったヴィレッジ・ピープルのカバー曲「YOUNG MAN」が大ヒットした1979年。
五十嵐夕紀さんも同年、両面洋楽カバーのシングルをリリースしています。
誤記 STE“L”EO 表記もありますが、充分デザインされたポップ感一杯のジャケット写真とはうらはら、中身はメタル系のギンギンサウンドの罪作りなレコード。
バイ・バイ・ボーイ
東芝EMI(TP-10618)
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「バイ・バイ・ボーイ」 
訳詩:山川啓介 作曲:Sprranza-Reale-Costello 編曲:馬飼野康二  (3:20)
ライオット(Riot) Warrior の日本語カバー。
スピーディーなメタル系サウンドが心地よいA面曲。

“♪ナイフのような目をしてる あなたがとっても好きだった なにかに飢えているような
男の匂いに 酔ってたわ”

歌詞も、曲調に合わせてスリリングな感じ。

夕紀さんのボーカル、ノドにヴィブラートを掛けた感じで終始ロックっぽく歌っていますが
凄く曲に会っている気がします。
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ゲッタウェイ 訳詩:康珍化 作曲:Doung Frank-Doug James-Cissy Houston          
編曲:馬飼野康二 (3:54)

B面曲は シシー・ヒューストン※(Cissy Houston) 1978年の Somebody Should Have
Told Me
 のカバー。(※シシー・ヒューストンはホイットニー・ヒューストンの母親だそうです)
ミステリアスなディスコ調の楽曲で、夕紀さんの特長、すこし鼻にかかったこもり声で丁寧に歌いこなしています。
“♪札つきなんだぜ 泣きをみるよと みんなわたし引き止めたけど 戻るつもりはさらさらないさ”
ワルな男性に惚れてしまった女性を歌ったキケンな歌詞
“♪パパとママには いつかわびるから 今は許して ふたり行かせてよ”

JOY❤DISCO ジョンウェイン

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発売当時レコード店からオーダーが入らず、結果的に流通が少なかったレコードを後にレア盤と言うようになり、高値で取引されるようになりました。
レコード好きな人に “タイムマシンがあれば・・・” って聴くと必ず “レア盤を当時の価格・新品コンディション”で買い漁る って答えが返ってきますが、実は私もその口です。
今回はちょっとしたレア盤のご紹介を。
JOY「DISCO ジョンウェイン」
発売年月:不明 日本マーキュリー(MA-2045)

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DISCO ジョンウェイン」作詞:坂田あふる 作曲:賀川幸生 編曲:丸山雅仁 (3:19)
ピンクレディーをかなり意識したようなA面曲。
ピンクの楽曲にあった効果音とかトリッキーな部分は皆無なのだけど、ハイハットの裏打ちや
ブラス隊のオブリガード、ケイちゃんのような低めの声がそう感じさせるのかも知れませんが・・
イントロからやたらカッコ良く、コンパクトに纏まった1コーラスが計4回(4番まで)、歌を前面に打ち出した“ディスコ歌謡”といった趣です。
ただし歌詞がわりとオーソドックスな印象で

“♪西部の男は恋にも 命を掛けるというわ あたしが誰かの花だって 遠慮しないで奪って
みてよ 女ごころは ユラユラゆれて 男の強さに いつか魅かれるの”
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Love me ブギウギ」作詞:坂田あふる 作曲:賀川幸生 編曲:丸山雅仁 (2:53)
タイトルがカッコいいB面曲ですが、昭和に良くあった「~小唄」「~音頭」のメロディーをディスコ調に乗せたもので、今聴くとすこし古臭さを感じます。

“♪ハアハア・・ハアハア・・愛してくれたら 私とことん尽くします アーン”

裏声、こぶしが適度に入った曲ですが、難なくこなすこの二人。
このJOYという2人組、当時無名の演歌歌手をセットで売り出そうとしたのかな??
なんて憶測もできそうな、そんなレコードです。
確かに左側の姉さんなんか、そんな感じ・・・ですよね。

ザ・ビートルズ☆50周年アニバーサリーエディション

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1968年にリリースされた「ザ・ビートルズ」通称ホワイトアルバム。
2018年の今年、50周年アニバーサリー・エディションとしてCD6枚&ブルーレイのヴォリームでリイシューされました。
「ホワイトアルバム」は「アビー・ロード」の次に好きなアルバムなので
今回のリイシューは素直に嬉しいです。
また、日本盤は48頁におよぶ対訳付。内容はまるで名著「レコーディング・セッション」のような詳しい解説です。
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さてさて、本編 悪夢のような“レヴォルーション9”が終わると子守唄のような“グッド・ナイト”でアルバムは幕をとじます。
ジョンとしてはビートルズを“グッド・ナイト”で終わりにしたかったのかな?と
昔から思っています。
“♪おやすみ おやすみ みなさん 世界中のみんな おやすみなさい”
そう考えると、最後のヴァースも意味深ですし、次のアルバムでポールが
“ジ・エンド”とやってしまったジョンの悔しさが名盤“アビー・ロード”を嫌った大きな理由だったのかもしれません。
ビートルズってこういった妄想遊びが出来るから大好きです。


書籍:ミュージックライフが見たクイーン

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MTVもYou Tubeも無かった1970年代。
音楽雑誌はレコードと共に、洋楽の魅力を充分に伝える大切な情報源でした。
“ミュージック・ライフ” “音楽専科” “ロックショウ” 毎月発刊される音楽誌をフォローしながら新譜レコードを聴くことが、とても楽しい時間でした。

こちらは2011年に発刊された“ミュージック・ライフが見たクイーン”の特集本。
最近のクイーン人気で第5版(2019年現在)まで増刷されています。

こちらは表表紙:
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続いて裏表紙:
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初期の少女漫画のヒーロー みたいなビジュアルも良いですが、後期のアーチスト然とした表紙もカッコいいですね。
クイーンとミュージック・ライフのお陰で素敵な10代を過ごしました。
ここで改めてお礼を、本当に有り難うございました。



岩崎宏美❤パンドラの小箱

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“歌姫”という言葉は現在いろいろな女性シンガーに乱用されていますが、
70年代末期の岩崎宏美さんは歌謡界、いいえワールドワイドで最強の“歌姫”だったのではないでしょうか?

当時 19才(二十歳前・・・ともいう)の宏美さんが1978年8月にリリースしたアルバム「パンドラの小箱
全曲:筒美京平が書き下ろした凄曲ぞろいで、バックの演奏もDr,ドラゴン&サウンド・オブ・アラブの凄腕。ファンからは“歌謡アルバムの金字塔”と謳われる超絶名盤です。

さてさて禁断のパンドラの小箱 開けてしまったら一体何が飛び出すのでしょう?そして最期に残るものは?興味津々でしょ?

1978年8月25日リリース ビクターSJX-20077
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1「媚薬」作詞:阿木燿子 作曲・編曲 筒美京平(4:12)
 スティービーワンダーの「迷信」のようなミディアムテンポのダンサブルな曲調。
 ミステリアスな雰囲気を醸し出す充分抑えた歌い出しからサビに向かっての艶やかな 歌い上げが結局は “岩崎節” に落ち着くあたりが見事です。
 ヒット曲「センチメンタル」で見られたエンディングでのバック女性コーラスが主旋 律を歌い、宏美さんが別メロディーを被せてくる手法がここでも見られます。
 “♪あなたはすべて聞き終わり そっと席を立つ 私はあなたを傷つけた 心の重さに 動けずに さよならを見送っていたわ”

2「パンドラの小箱」作詞:阿木燿子 作曲・編曲 筒美京平(4:27)
 サンバリズムが印象的なアルバムタイトル曲。奥行きのある素晴らしい宏美さんのヴ ォーカルが絶好調。
 “♪一人で行くはずのない映画 手ぶり身ぶりで 話すあなた”
 “♪大人の童話は とても残酷 パンドラの小箱 開けてみれば”
 オトコの不実を歌った歌詞がなんともやるせなさを残します。

3「コントラスト」作詞:島武実 作曲:筒美京平 編曲 船山基紀(3:19)
 ダイナミックなメロディーを持つミディアムテンポのマイナー曲。歌謡曲の醍醐味を 味わえるような一曲。それにしてもこのアルバムの演奏 素晴らしいです。

4「パンドラの小箱(バリエーション)」作曲・編曲 筒美京平(0:20)
   次の曲「ピラミッド」の導入部のような20秒程度のインスト・ナンバー。

5「ピラミッド」作詞:橋本淳 作曲・編曲 筒美京平(3:58)
 5曲目で“お待たせしました”の京平ディスコ歌謡。
 ジャケット写真そのものの神秘的ですこし謎めいた導入部から
 例えば同時期の京平作品:高見千佳さん「シンデレラ」、石野真子さんの「日曜日は ストレンジャー」そして淳子さんの「リップスティック」を彷彿させる、いつまでも 溢れ出すメロディー展開は聴き手に息もつかせない程。ぐいぐいとポップで煌びや  かなメジャーメロディー全開のサビへ持っていく辺りが実に見事です。
 “♪Are you happy?  ハッピーですか?Ah  尖らせた くちもとに 微笑みがもど りましたか うずまく夢が飛び散って muhh・・”
 このあたりの宏美さんのリズムの取り方がなんともユニーク。
 
6「カンバセーション」作詞:橋本淳 作曲・編曲 筒美京平(5:14)
 疾走感あふれる前曲から打って変わりクールダウン。メロディーの起伏が少ない曲で は宏美さん ヴォーカルテクニックの聴かせどころ。ここでは終始透明感ある印象の 演奏にうっすらと色を残しながら。
 “♪くちづけは 私のなぐさめのキャンディー 涙が流れて 言葉なんて何も云えない ” 特に間奏でのスキャットが見事。
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レコードではここからB面  
7「シンデレラ・ハネムーン」作詞:阿久悠 作曲・編曲 筒美京平(4:01)
 1978年7月25日にリリースされた宏美さん14枚目のシングルを再録。
 正直に言うと 宏美さんの初期シングル“センチメンタル”のメロディーが大好きであ った10代の頃の私。それ以降のマイナー路線は好きにはなれませんでした。
 この“シンデレラ・ハネムーン”も同様ですが、このアルバムのこの位置に嵌っている と、その疾走感と演奏の格好良さに改めて気づかされます。また当時流行っていた
 “アラベスク”に代表される日本人受けしそうなディスコミュージックからの影響も垣 間見れます。

8「想い出は9月ゆき」作詞:島武実 作曲・編曲 筒美京平(3:59)
 ストリングスの響きが煌びやかでまるで甘美な夜の世界。
 メロディーが素晴らしく聞き惚れてしまいますが、聴き込んでみると女性バックコー ラスと宏美さんのスキャットがパートごとに入れ替わったりして実はとても凝った作 り込み。
 “♪記憶の渦を辿れば確かに あなたが居た9月ね 無口なはずの心をのぞいて つつ いたのは誰なの”
 
9「ミスター・パズル」作詞:島武実 作曲・編曲 筒美京平(3:33)
 フォーク調のメロディーが素敵な、どこまでも人懐っこい歌世界。
 ここで紡ぎだす京平メロディーは(前述のように)メロディーの宝庫。次から次へと 目紛しい変化を楽しめるところがこのアルバムの醍醐味を象徴するような楽曲。
 B面ではこの曲が一番好き。
 “♪乾いたクチビルのなんて重いこと 巡る星座がみっつ よっつと沈んでく”
 あなたとの別れを歌った歌詞ですが、どこかチャーミングなイメージを残します。
 “♪ゆけないの あなたとはゆけないの 心が天秤のように揺れるけど”

10「L」作詞:阿久悠 作曲・編曲 筒美京平(3:09)
 宏美さんのブルーアイドソウル?ブラスアレンジも入ったファンキーな曲調。
 “♪Lで始まる言葉はLOVEだけじゃないの Lで始まる言葉にLONELYもあったのね”
 適度にパンチの効いた宏美さんのヴォーカル。転がるようなピアノの音色と分厚いブ ラス隊。
 曲の最後のあたり英詩の“♪Not only love but also lonely”のリフレインが4回程。
 ここだけ切り取っても最早アイドル歌手の枠組みを軽く飛び越えて。
 いやいや、異次元の歌手というべきでしょうか・・・・

11「南南西の風の中で」作詞:阿久悠 作曲・編曲 筒美京平(3:47)
 宏美さんのAOR。キラキラした水面と乾いた空気。そしてどこまでも優しいソフトタ ッチの歌い方。ヴォーカルがひとつの楽器になっている錯覚も。
 “♪秋の気配もなく 海はきらめいて 南南西の風に 私吹かれて しあわせ・・・”

12「パンドラの小箱(リプライズ)」作曲・編曲 筒美京平(0:37)
 締めはアルバムタイトルのインストがオマケ的にひっそりと。
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パンドラの小箱」を幸運にも開けてしまったリスナーは、素晴らしい音世界に
引きずり込まれ その生涯の愛聴盤になりました・・・ ってオチがつく位の名盤であることは間違いありません。
“ヒロリン いつもありがとう”

岩崎宏美❤二十歳前・・・

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レコーディングスタジオ 操作卓の前でカジュアルにポーズをとった宏美さん(以下ヒロリン)。衣装は全て自前のようでハニーハウスの真赤なスウェット、カンフーパンツとサンローランの船底シューズ・・・は、当時大流行のサーファーファッション(本人談)。
ヒロリン6枚目のアルバム「二十歳前・・・」は1978年4月5日リリースされました。

シングル曲 78年2月5日リリース済みの“二十歳前”c/w“ザ・マン
同7月5日リリース予定の“熱帯魚”c/w“夏のたまり場
シングル盤の両面(4曲)を収録し、6組ほどの作曲家の作品を集めとてもバラエティー豊かなアルバムとなっています。
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1 “二十歳前” 作詞:阿久悠 作曲・編曲:穂口雄右
アルバムの顔となる1曲目は“素晴らしき”ヒロリン12枚目のシングルを再収録。
ピアノバラード調の導入部から、ストリングスが麗らかな疾走感ある本編との対比が見事。極上のメロディーと、二十歳という節目で心に引っ掛かった忘れ物 を綴った素晴らしきフレーズの数々。アイドルソングの鑑のようなヒット曲です。

現在You Tubeなどで「夜のヒットスタジオ」出演時の動画を見ることが出来ますが、
ゆったりした演奏にテンポが掴めず、背中向けて指示を出しているような歌唱シーンも・・・。当時歌いきるのにかなり苦労した曲の様です。

ところで、本アルバムヴァージョン。ヒロリンのヴォーカルを録り直した再録で、当初のシングルは、風邪気味の声で歌っています。とはいえ、言われてみると分かる程度で録り直すほどのことでは無いと思ったりします。それだけこの曲を大事にしているのでしょう。

2 “クエッション・マーク” 作詞:阿久悠 作曲:三木たかし 編曲:船山基紀

3 “熱帯魚” 作詞:阿久悠 作曲・編曲:川口真
マイナー調の曲ですが、来るべき夏を感じさせる曲調のシングルカット曲。
というのも“♪ああ 今夜はもう帰りません私 叱られてもなじられてもいい”
なんて歌い回し。すこし祭り囃子の節回しに似てるな と感じたりして。
ミドルの転調もあり当時の歌謡曲の煌めきが感じられます。
“♪ゆらゆらとゆれるからだ はなやいで遊ぶこころ 水槽の中を泳ぐ 熱帯魚みたいよ”

4 “夏のたまり場” 作詞:阿久悠 作曲・編曲:川口真
A面はメジャー曲とマイナー曲が会話のように交互に現れます。
こちらはストリングスが綺麗なスローバラード。
一句一句の歌詞を大事にした丁寧なヒロリンのヴォーカルが印象的です。

5 “ニッカ・ポッカ” 作詞:阿久悠 作曲:三木たかし 編曲:船山基紀
アップテンポのジャンプナンバー。
底抜けに楽しい曲調で、中半から後半の高音域までの発声の使い分けが見事です。
“♪あんまり星が光るので 不意にくちづけあげたくなった 何の関係もないけれど”

6 “ザ・マン” 作詞:阿久悠 作曲・編曲:穂口雄右
しゃくり上げるようなメロディーが印象的なマイナー曲。
題名通り男性のセリフがメインになっている珍しい歌詞。
“♪それじゃここらであばよといおうか 一度くらいはキスでもしようか”
“♪冗談さ べそをかくな そんなことはしないさ”
低音部から艶やかな中音域 ヒロリンの素晴らしさが光ります。
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7 “何かが起こりそうな朝” 作詞:東海林良 作曲:大野克夫 編曲:船山基紀
スローテンポなバラード曲。

8 “季節のかほり” 作詞・作曲:丸山圭子 編曲:佐藤準
あたたかな太陽の下を感じさせる跳ねたピアノの演奏が印象的。

9 “つめたい抱擁” 作詞:東海林良 作曲:大野克夫 編曲:船山基紀
A面の聴かせどころがオープニングの“二十歳前”だとしたら、B面は本曲“つめたい抱擁”と12曲目の“”といったところでしょうか。
どちらもしんみりとしたマイナー調のバラードですが、ヒロリンの
最高の歌声が曲を彩ります。
こういった曲調が一番しっくりくるような気がします。(とはいえ私が好きなのは、京平ディスコ曲なのですが・・・)

10 “ヴェニスの花嫁” 作詞:中里綴 作曲:・編曲:萩田光雄

11 “暁” 作詞:中里綴 作曲:・編曲:萩田光雄
どこまでも優しいイメージのバラード曲。

12 “今様つづり” 作詞・作曲:丸山圭子 編曲:佐藤準

70年末期 確かに世界最強の女性シンガーだったヒロリンの“素晴らしい”ヴォーカルが堪能出来る、バラエティーに富んだ愛すべき作品集。
未聴の方は、是非一度聴いてみてください。